マディ・ウォーターズの曲の中で、
「The Blues Had A Baby And They Named It Rock And Roll (#2)」
という曲があり、こんな一節があります。
The blues got had a baby and they named their baby rock and roll
ブルースは赤ん坊を生んだ。そして、その子をロックンロールと名付けた。
また、マディは1969年に白人の若手ミュージシャンを中心にして企画アルバムを発表しました。
タイトルは『ファーザーズ・アンド・サンズ』。
私がブルースを聴き始めの頃に本当によく聴いたアルバムですが、
まさにブルースとロックの関係について表した言葉だと思います。
マディ・ウォーターズ(本名:マッキンリー・モーガンフィールド)
を一言で説明するときに最も用いられるフレーズが、
『シカゴブルースの父』ですが、もう一つあると思うのです。
『ロックンロールの父』
個人的には、シカゴブルースがロックに最も影響を与えた
スタイルだと思っているのですが、そのシカゴブルースの父ならば、
ロックンロールの父でもあると思うのです。
本当に楽しそうに、嬉しそうに歌うミック。
ほほえましくもあります。憧れのオヤジと、
オヤジのナンバーを歌うんですから、わかります。
ブルースは力強く、男らしく
ブルースで歌われている題材は様々ですが、比喩的表現はよく使われますが、
概ね日常的かつ直接的な内容です。
恋愛に関する歌でも
「俺を捨てないでくれ」とか「おまえをヤリたい」とか、そんな感じです。
ただ、そこでのキャラクターは結構女々しかったりする場合もあるのですが、
マディはひたすら強くて男らしい、女々しさなど無縁のキャラクターです。
実際も、シカゴブルース界のリーダーらしく、
そして、そのキャラクターで自らのバンドを引っ張ってました。
彼の代表的なアルバムであり、色んなブルースのタイプがあれど、
最も重要なアルバムと言える『ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ』というアルバムがあります。
その中に『I Just Want To Make Love To You』という曲があります。
I don`t want you to be no slave
I don`t want you work all day
I don`t want you to be true
I just want to make love to youオレはおまえに奴隷になんてなってほしくない
オレはおまえに毎日働いてほしくない
オレはおまえに誠実になんてなってほしくない
オレはおまえとヤリたいだけなんだ
究極的な男らしさだと思いませんか?
『ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ』のジャケットでも、
『マディ・ウォーターズ・アット・ニューポート』のジャケットでもそうですが、
マディは、どこか遠くを見つめているような写真です。
私には、どこか威厳のある、男くさい父親のように見えます。
もしかしたら、その視線の先は後に自分の「子供」となる
ロックの未来を見据えているのかもしれません。
マディのスライドギターはワン・アンド・オンリー
マディはギタリストとしても名が知れています。
トレードマークのテレキャスターで、攻撃的なスライドギターを聴かせてくれます。
悪く言えばワンパターンだし、フレーズの数も乏しいものです。
もっとも、こんな言い方は無粋なのですが(苦笑)。
ギタリストとしての彼のフォロワーがいないのは、上記の理由と、
あまりにも個性的だからなのではないかと思います。
コメント